願いをかけて授かった大切なお守り。授けてもらった神社が旅行中に訪れた遠方の神社であったり、友人や知人からもらったお守りで、返納しに行く時間をつくることがなかなか難しいことってありますよね。
そこでお守りを違う神社に返納しても良いのかどうか、どこでも受け付けてくれるのかを解説します。結論から言うと、基本的に返納しても大丈夫です。
ただそこには、注意点やマナーがあります。
この記事では、お守りを違う神社に失礼なくスムーズに返納する方法を解説していきます。
目次
お守りを違う神社に返納することは基本的にOK
神社本庁という全国の神社を包括する組織があり、その組織から以下のようなコメントが出されています。
前の年のお神札やお守りは受けた神社にお納めするのがよいでしょう。受けた神社に行くことができない場合は、お近くの神社に相談、または、お気持ちを添えて受けた神社にお送りするのも一つでしょう。
とあります。
コメントを確認すると、 違う神社に相談しても良いということで、忌避されている行為ではないことはことが分かりました。さらには授かった神社に郵送して良いことも。
しかしここで2つの疑問点が。
・「相談」といっても、相談して実際に受け入れてもらえるものなの?
・「お気持ちを添えて」とありますが、具体的にいくらぐらいが適正額なの?
いろいろな考え方があるとは思いますが、考えをすっきりさせるために実際に聞いてきました。
1300年以上の歴史を持ち、その巨大な御朱印が2016年にギネス世界記録に認定された箭弓稲荷神社の権禰宜・松岡大熙さんにお時間を頂きました。
「基本的に授かった神社に返納することが望ましいことですが、そうはいかない場合もあるかと思います。遠方の神社から授かったものであるかもしれませんし、時間を捻出することが難しい方もいるでしょう。他の神社のお守りも受け付けています。」
お気持ちって、一般的にどの程度が適正なのですか??
「金額に決まりはありません。神社に対してというより、そのお守りから授かったご加護に対する感謝として出すものなので、そのお守りに対する個人の感謝や思いによります。それは10円なのかもしれませんし、1万円なのかもしれません。」
と、回答をいただきました。
お守りを違う神社に返納するときの注意点
基本的に他の神社に返納しても良いということは分かりました。そして「お気持ち」は何を基準にして包めば良いのかもはっきりしました。
しかし他にも注意点やルールがないかどうか、心配な方やはっきりさせたい方もいるかもしれません。
そもそもお守りっていつ返納するの?
お守りを手放すタイミングとしては2つあります。
・お守りを授かってから1年
・願いが叶ったあと
という2パターンです。お守りのご利益は1年で切れてしまうとされているものです。しかし必ず手放さないとならないという決まりや、持ち続けると災いがあるということではありません。神社本庁でも”願いが叶うまで身につけても差しつかえありません”と言っています。
思い出として大切に手元においておきたいお守りは、無理に処分する必要はありません。
神社って日本全国にたくさんあるけど、本当にどこでも受け取ってもらえるの?
神社本庁は全国約8万の日本各地の神社を包括する宗教法人ではありますが、すべての神社がその組織と包括関係にあるわけではありません。
神社本庁は昭和21年2月3日、全国の神社の総意によって設立されました。
出典:神社本庁HP
つまり神社本庁の見解も、全ての神社の受け入れの確約にはなってはいません。
神社本庁に属さない神社として有名な神社としては靖国神社、日光東照宮、金刀比羅宮、伏見稲荷神社などがあります。
お守りを送る際には、やはり事前に確認しておく必要がありそうです。
違う神社のお守りを受け取った神社の人は、迷惑に感じたりしないの?
神社本庁はお守りを違う神社に返納することは、「忌避行為ではない」という見解を出しています。 とはいえ、他の神社のお守りを受け取っていただくとなると、気がひけてしまう方もいるかもしれません。
そこで先ほどの箭弓稲荷神社の権禰宜・松岡大熙さんに確認したところ
「他の神社のお守りやお札を受け取ることを迷惑だと思ったり、手間だと感じたことはありません。」
では、どんなときに困ってしまうことがありますか?
「お札とお守りの返納箱に、人形やダルマが入っていることですかね。ダルマは仏教のものなので。」
との回答を頂きました。
ついつい思い入れのある人形やダルマを返納箱に納めてしまう方もいるようですが、お守りを違う神社の返納することについては、どうやらそこまで気にしすぎなくても良いのかもしれません。
神社で授かったお守りをお寺に返納することはできるの?
これはできません。そもそも「神社のお守り」と「お寺のお守り」は、じつは別物なのです。
・神社のお守り 神様のお力をいただくもの。身につけて神様のご加護をいただくもの。
・お寺のお守り お寺のお守りは、身につけている人を守る神様の分身。
お守りを違う神社に返納する以外の方法は?
どんと焼きで焼納する
どんと焼きとは、1月15日に正月飾りやお守り、お札などを燃納する日本の伝統行事です。全国的に行われている火祭りで、神社や公共の広場で行われることが多い行事です。
近隣地域でどんと焼きが行われていないかチェックするのも、一つの方法ですね。
自分でお清めして可燃物へ
お守りは可燃物ではありますが、その役目を終えた後にそのまま可燃物のゴミとして処分するのは気がひける方もいるかもしれません。そんな場合は自分でお清めする方法もあります。
1. 白い紙や和紙を広げる
2.その白い紙や和紙の上にお守りを置き、左右に1回ずつ塩をかけ、最後にもう一度左に塩をかける
3.広げた白い紙や和紙でお守りを包み、可燃物のごみとして処分
では、お寺で授かったお守りを、お寺に返納するのことはできるの?
これもお寺によりますが、やはり授かったお寺に返納するのが基本のようです。
調べると色々な考えがあるので実際にお寺に聞いてきました。
鎌倉時代の有力御家人である比企氏が深く帰依し、北条政子の守り本尊でもあった巌殿観音正法寺の副住職に確認したところ
「他のお寺のお守りも受け付けてはいます。しかし、基本は授かったお寺に返納することですね。他のお寺のお守りの返納を断ることはありません。基本は、というお話です。」との回答。
それは宗派の関係でもありますか?
「宗派という理由より、お守りは仏様の分身であるわけなので、祭っている仏様はお寺によって違います。祭られている仏様の下へ返納することが基本というところですね。」
まとめ
「お守りを違う神社に返納しても良い?どこでも受け付けてくれるのか」
を解説してきました。
それをまとめると、次のようなことが分かりました。
・お守りを違う神社に返納することはできる
・事前に確認する必要はある
・神社で授かったお守りをお寺に返納することはできない
・授かったお守りを返納以外で処分する方法もある
・ただ、授かったお守りは元の神社やお寺に返納するのが基本
1年間身につけてご利益を授かったお守り。神社に返納するにしろ自分で処分するにしろ、最後まで丁寧に扱い、感謝を込めてそのお守りとお別れできたら素敵なことですね。